そういえば、子供の頃犬を飼っていた。
チェリーという名前だった。
断片的な記憶しかないけれど、一緒に原っぱで遊んだりしていた。鎖で繋ぐこともせず、放し飼いだった。
学校から帰ると、尻尾を振って迎えてくれて、遊ぶのが日課だった。
でも、私達には懐いていたけれど、父親や、他人には激しく吠えて敵意剥き出しで、ある夜に父親が怒ってダンボール箱に入れ、どこかに連れていってしまった。私も大泣きで抵抗したけど無駄だった。
思い出すと怒りと恨みがまた、ふつふつと沸いてくる。
もう、昔の事なのに。
まだ、消化できない、あの理不尽さ。
身勝手な父親のせいで最後まで一緒にいてやれなかった。
どう感じたんだろう。
もう一度逢いたい、逢って謝りたい。
夢にチェリーが出てきたあとに涙があふれた。