行き詰まってくると、必ず海が見たくなり、どうしようもなくなる。
小さい頃から、海のそばで暮してきたせいか、当たり前のように眺め、匂いを感じ、癒され、恐れ、恵みに感謝するようになった。五感で知るようになった。海より大きな存在は無かった。
漠然と海も空も繋がっていると思っていた。
そして、海の無い世界は想像出来なかった。
海から離れて暮らすようになると、息が苦しくなった。不安が不安を呼び、不安に取り憑かれた。
どこにも、安心できる居場所が無くなり、動けなくなった。
海から離れたら、生きていけないのではないかとすら思うようになり、息が苦しくなる。
すると、そんな時は必ず不思議な事に、友人から海の写真が送られてくる。おそらく、友人は気づいていないけれど、海からの声が届いたと、私は信じている。